いぬの夜鳴き

夜鳴きと怪文書

No.7

包装紙はネイビーで

探索者の二次創作妄想SSです。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 これはそう、彼の誕生日が来週であると気づいたときの話。

「むむむ……どれもピンとこない」
 商店街の端から端まで。お菓子にハンカチにと色々と見たものの、これといったものはなくて。
 ご近所さんの犬にまで相談をするぐらいには悩んでいたある日。テレビの中、小説家の先生が机に張り付いて原稿に向かうシーン。その時手に持っていたソレを見て、思わずガタリと立ち上がり、財布を持って少し大きな町へ飛び出す。
 あれでもない、これでもない。そう脳内で繰り返しながら店を梯子してようやく見つけたソレ。大人の男性が持っていても何の違和感もなく、普段から使う機会の多いもの。
「すみません、これください!」
 お菓子のように消えてなくならない、ちょっと背伸びした特別なプレゼント。
「ご自宅用ですか? それとも……」
「プレゼント用でお願いします!」
 少し食い気味になってしまったのは許して欲しい。同い年なのに自分よりもしっかりしている彼にピッタリの一品を見つけてしまって、すっかり浮かれてしまったのだ。
 目の前で丁寧に包まれていく万年筆を見て思わず口元が緩む。
 これを渡したら彼はびっくりしすぎてぽかんとしてしまうだろうか?
 それとも喜んでくれるだろうか?
 あぁ、自分の誕生日ではないのにすごく待ち遠しい。はやく君の顔が見たい、そう思うよ!
▶とじる

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
#近重みつか

怪文章