いぬの夜鳴き

夜鳴きと怪文書

No.28

梅雨明け宣言

クトゥルフ神話TRPGシナリオ「金糸雀の欠伸」(作者:しもやけ様)のネタバレがあります。

探索者の二次創作です。
彼の落としどころを見つけるための文です。

金糸雀自陣、一周年記念でした。
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 たった一年、されど一年。
 夢から覚めるには十分な時間だった。

 気持ちが絡まってすべてを諦めてしまった人。
 最期のその瞬間まで前に進むしかなかった人。
 信じるものを捨てず、真実を抱いて立っている人。

 そんな人たちを組織が、法が、国が守ってくれないのであれば、誰が彼らに手を伸ばすんだ。
 自分がルールから一歩外れてしまってようやく理解した。
 “正義”のお面をかぶった奴らは、人の涙を見ないふり。
 ”悪”だと言われた人たちのレッテルを剥がせば、そこにいるのは救うべき存在。
 そんな存在を今度こそ守るために出した答えは「信じてきたルールを捨てる」こと。
 「しなさい」と言われた通りにやっていたら何も救えないまま。
 それなら「してはいけない」ことをすればいい。
 「誰か」のために。何よりも人を救いたいのだと願った「自分」のために。

 帽子を深くかぶり、顔を上げる。高い位置にある太陽がとてつもなく憎い。
 ミーン、ミン。
 例年よりも早い、夏を知らせる声が聞こえてくる。
▶とじる

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#金糸雀 #片桐剛

怪文章