いぬの夜鳴き

夜鳴きと怪文書

No.20

俺の拳銃には弾が全弾入ってる

クトゥルフ神話TRPGシナリオ「金糸雀の欠伸」(作者:しもやけ様)のネタバレがあります。

探索者の二次創作です。
あくまでも自分がこのシナリオと自陣を受けて書きたくなった妄想SSです。
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 ──ぱん。
 気付いてた、聞こえた。

「ごめんね。……ばいばい」

 それなのに俺はそれを許してしまった。
 起きたくない、そう思ったのはいつぶりだろうか。
 ぬるりとした感触と、すんと鼻を掠める鉄の匂い。
 ああ嫌だ、これを認めてしまったら俺はどうすればいい?
 俺はあれから何も変わってない。変われてない。
 目を開く勇気がない。かけるべき言葉もない。
 隣にはもう、誰もいない。



 体を起こし、手錠を外す。どうやら夜中に降っていた雨は止んだらしい。
 浅葱さんはよく寝ている。起こすのは申し訳ないが、そろそろ行かないとまずい。
 立ち上がって、歩き出す。上着は汚れてしまったから置いていく。

「暖かい海がいいって……バカンスじゃないんですから。まぁこんな海と比べたらよっぽど良いですけど」
▶とじる

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#金糸雀 #片桐剛

怪文章